LOGIN少女が駆け寄ってくる
少女?「大丈夫?」 俺「ああ、ありがとう助かった...でも祐希が」 血だらけの祐希の死体が見える、吐きそうになる。 少女?「間に合わなかったごめんなさい...」 俺「いや、良いんだ君が悪い訳じゃない、ところで君はなんなんだ人間じゃ無いのか?あのバケモノは?割れた空は?」 少女?「話すと長くなると思うから場所をかえましょう。服も汚れているし、友達の回収は本部に任せてあるわ」 俺「ああ」 本部って何だ?などと考える暇も無く今起こった事がフラッシュバックする。だけど場所を変えた方が良い事だけは分かった。 何も考えられず、ついて来いというので家にも帰らずそのまま移動し、やがて有名な金属加工メーカー、エボルブのビル前に着いた。 「何でエボルブ?」 「ここの地下にアビスがあるの」 裏門のような所から、エレベーターに乗ると一気に下方向に下降していくのが分かる。ボタンは1つしか無いのだが下降時間が長くとても規模が大きいと感じた。 ピンポーンと到着の音が鳴ると、そこには小さいもう一つの世界が広がっていた。少し古い建築技術の建物が見え、自然があり頭上にはここも夜なのか星が見える。どういう事なんだろうか。頭で考えるが思考が追いつかない。 街灯のある 平原のような場所を少し歩くと、研究所のようなそれでいて学校のような建物にたどり着いた。 正面玄関を抜けるとまたエレベーターがあった。 乗り込み最上階へのボタンを少女が押す。 扉が開いた最後に訪れたのは、病院と研究施設の混ざったような建物。 エントランスを抜けると、休憩所がありその奥に枝分かれした広い通路がある。 ユイが、無言のまま歩く。その後をついて行く。 やがて、アンドロイド素体が放置されている部屋にたどり着いた。 「ここは?」 「ここは、戦闘用アンドロイド開発室」 「じゃあ、君もここで作られたって事?」 「似たような物だと思うけど、少し違うみたい」 「そうなのか。」 確かにユイの作りとここにあるアンドロイドの造りは少し違うような気がする。 ここにあるのは量産型みたいな物なのかもな 奥の部屋に入ると ガラス越しに何か話している様子の人影が見える。 「もういい!実験は失敗だ!お前たちのせいで楓(かえで)は死んだんだ!」 30代半ばぐらいの男が怒号している。 他に若いメガネをかけた女性が「仕方が無かったの!あのまま実験を続けていれば外にまで被害が出る!あなたも分かっているでしょう!?」 何の話なんだろう?ー 「大丈夫?」 ユイの言葉でハッと現実に戻る 「夢をみていたのか?」 「遠い所を見ていたみたいだから心配した。」 「ごめん」 「ここは?」 「ここは"私達"が造られた場所、国の極秘事項。」 「"私達"?」 「私だけじゃない、ELH、通称アーティファクトエンジェルは他にもいるの」 「その子達も元は人間だったのか?」 「詳しくは分からないけど、私は元々人間だった。アークロイドに襲われて身体がボロボロになって動かなくなって、研究所に運ばれて造り変えられたって言ってた」 「作り変えられた?人間だった頃の記憶はあるのか?人間だった君はもう死んだ事になっているの?」 「おぼろげではあるけど、あるにはあるよ。でもあまり覚えてない。死んだという事になってる。ここに来た時点で行方不明になるしあなたとあまり変わらないけど」 「そうだったのか...」 ... 会話に沈黙が訪れユイがどこかに歩いていく。 病院のようなエントランスを抜け、廊下を少し歩くと病室が並んでいる。 自動ドアを通ると ガラス越しに、ユイと同い年かそれより少し上ぐらいだろうか?若い女の子が眠っているのが見えた。 「あの娘は?」 「あの娘の事はよく知らない。
祐希と顔にモヤのかかった少女がいる。 祐希は、笑顔でこちらを見つめている。 少女は、笑顔でこちらを見つめている。 俺は、悲しい気持ちになった。どちらも守れなかった。 ハッと、目が覚めた。見慣れない天井だ。 どうやら夢を見ていたらしい、涙を流していた。 昨日の事も全て夢であって欲しかった。 「8時か」 身支度をして、支給された制服に着替えて宿舎を出る。 今日は、対策本部と呼ばれているこの場所を案内して貰えるらしい。どうやら普通の生活には戻れないらしい。家族や学校には行方不明になったという事になっているらしい。 「死ぬまでここにいるのかもな...」 対策本部の外へ出るのは、戦闘時または特別な事情がある場合。それ以外は基本的に外出不可らしい。 ここでは衣食住に関しては困ることは無いらしいが アークロイドを全て一掃するまでは完全に出られる事もないのだろう。 後悔はしていないが、少し不安があった。 宿舎を出ると見覚えのある顔が見えた。 「おはよう、ユイさん」 「ユイで大丈夫、よろしくねカイト」 「じゃあ、ユイよろしく。」 カイトと呼ばれたのにはビックリしたが、それ以上に懐かしい感じがした。 その後、施設を回った。 大浴場 宿舎 学校 娯楽施設 ショッピング施設 と、説明を聞きながら回っていった。 すぐに昼になった。 ぐーと腹が鳴る。 食堂で、2人で昼食を食べていると、若い男女が話しかけてきた。 「新入さんかな?よろしくね!私はミクっていいます!」 「俺は、岸浪ハルト!よろしくな!」 「俺は、神童灰人です。よろしくお願いします。」 「入ったばかりで不安な所ごめんね!なんでも聞いてね!」 「いえ、大丈夫です。何かあったらよろしくお願いします。」 「ユイ!いい人そうで良かったね!」 「うん、とてもいい人だよ」 ニッコリとユイが言うが、俺に良い人要素あるのか?まだ会って浅い気がするが。 それはそうと精一杯の受け答えをしたつもりだが、表情が暗かったか気を使わせてしまっただろうか。 この人達も、ここにいるという事は何か辛い過去があると思うとまた少し悲しくなった。 もっと話をしたいのは山々だが、午後で全ての施設を周ることになっている
「君が神童灰人君だね、まっていたよ」 なぜ俺の名前を知っているのだろう メガネをかけロングヘアーの40半ばほどの女性がそう問いかける。 「ユイご苦労だった。もう一人はこちらで保管している。残念ではあったがこちらの予測に不備があった為だ気にするな」 「助けられなかったのは私のせいごめんなさい」 ユイというのはこの少女の名前だろうか、聞き覚えがあるような気がする 前にも何処かで聞いたことがあるような 女性が、ユイと呼ばれた少女の頭を手で撫でながら 「自己紹介が遅れてすまない、私はアークロイド対策本部アビス司令の園崎蘭だ。ここはその司令室だ」 周りには、モニターを見つめている司令員が数名いる。 園崎という苗字に聞き覚えがあった。エボルブの社長もたしか園崎だった気がする。家系の一人なのだろう。 「何故俺の名前を知ってるんです?」 「アークロイドに襲われた人間は我々が管理するようになっていてね。その都合で人物の情報の照会が可能なんだよ」 「アークロイドって何なんですか?あいつらの目的は何なんです?それと彼女は人間なんですか?」 「その話を全て答えると長くなる、手短に言おう。人類の敵、地球外からの侵略者だ、彼女はそれと戦うアンドロイドだ。詳しくはまた後で話す」 敵か、《アンドロイド》聞いた事はあるが実物は見たことがない。CMとかでやっている介護用ロボットとかと同じなのか? 「まだ山ほど聞きたいという顔をしているな、まずはシャワーでも浴びて、服を着替えて来た方が良い」 そう言われ、シャワー室の場所を案内され、軽くシャワーを浴び渡された制服に着替え指令室に戻ると 「キレイになったね、では本題に入ろう」 「君には戦う意思がある?ハイかイイエで答えてね、ハイの場合は訓練を受け戦闘に参加して貰う、イイエの場合は記憶消去してまた平穏な生活に戻る。」 戦う?あんなバケモンと?冗談じゃない。 でもなぜか、いまさら祐希の言葉が頭をよぎる 《俺、困ってる人とか病気の人を助けいたいんだ!》 幼稚園の時からずっと一緒にいた。誰よりも俺を分かってくれていた。優しい奴だった。あいつは、俺より生きてる価値が何倍もあった人間だった。そんな意味のある奴が死んで何も意味を成さない俺が生きている意味があるのか、 《カイト
少女が駆け寄ってくる 少女?「大丈夫?」 俺「ああ、ありがとう助かった...でも祐希が」 血だらけの祐希の死体が見える、吐きそうになる。少女?「間に合わなかったごめんなさい...」俺「いや、良いんだ君が悪い訳じゃない、ところで君はなんなんだ人間じゃ無いのか?あのバケモノは?割れた空は?」 少女?「話すと長くなると思うから場所をかえましょう。服も汚れているし、友達の回収は本部に任せてあるわ」俺「ああ」本部って何だ?などと考える暇も無く今起こった事がフラッシュバックする。だけど場所を変えた方が良い事だけは分かった。何も考えられず、ついて来いというので家にも帰らずそのまま移動し、やがて有名な金属加工メーカー、エボルブのビル前に着いた。「何でエボルブ?」「ここの地下にアビスがあるの」裏門のような所から、エレベーターに乗ると一気に下方向に下降していくのが分かる。ボタンは1つしか無いのだが下降時間が長くとても規模が大きいと感じた。 ピンポーンと到着の音が鳴ると、そこには小さいもう一つの世界が広がっていた。少し古い建築技術の建物が見え、自然があり頭上にはここも夜なのか星が見える。どういう事なんだろうか。頭で考えるが思考が追いつかない。街灯のある 平原のような場所を少し歩くと、研究所のようなそれでいて学校のような建物にたどり着いた。正面玄関を抜けるとまたエレベーターがあった。 乗り込み最上階へのボタンを少女が押す。 扉が開いた
物凄い音がしたと同時に、ソラから何かが降りてくる。ヤバイと思ったのも一瞬、辺りが爆発音と煙に包まれた。ホコリと、火の匂いが混じり目を開けるのもやっとの状況の中一点を見つめる、祐希が何者かに首を絞められ苦しんでいる。 よく見るとソレは人間のような形をしていて、気味の悪い長い髪に見たことも無い光り輝く羽根が生えているマネキンのような化け物だった。 ナイフのような鋭い爪が光っている。鋭い牙が見え口が開いたかと思うと何か喋っているー食ワセロ まずいこのままだと祐希が殺される、いや食われる、何か無いかと道端に落ちていた大きい石を投げつける、がコンという音とともに簡単に弾かれる。逃げろ!カイト!と振り絞った声が聞こえる。 その瞬間、頭から上を覆いかぶさるように食われてしまった。 周囲に血飛沫が上がる。もはや何が起きているのか分からずその場から逃げ出す、だがすぐに化け物は背後をつく「なんなんだよお前はっ!」 振り返り、鋭い爪が繰り出される、終わったーそう思った瞬間だった。目の前に人影が現れた。 正確には目の前にヘッドホンをした髪の長い華奢な少女?が現れた。少女は、バリアで攻撃を防いでいるように見える。 「今すぐ逃げて」「長くは持たない」 そう言われとっさに逃げようとするが、足がすくみ動かない。運動不足?いや違う恐怖で動けないのだ。「抱えながら戦う、捕まって」と言われ渾身の力を振り絞りお腹辺りに捕まる。捕まった瞬間 違和感があった、人間のような柔らかい感触では無く硬く服の上からでも分かる金属のような質感に驚く。少女は猛スピードで、相手から距離を取る 振り回され、腕が解けそうになるが必死に耐えた。 バケモノは、羽から生えた銃のようなモノを乱射してくる。 俺はたまらず叫ぶ「なんでもありかよ!」 少女が何か呟いた「兵装解除アーティファクトxxxxxxxxxxx」後半が上手く聞き取れなかった その瞬間少女は振り返り弾丸を紫に光る剣のようなモノで全て弾き飛ばした。少しでも動いたら死ぬ気がした。 やがて俺を後方に投げ飛ばし、一瞬でバケモノの間合いに入り首を切る、バケモノは止まらず動き出すが胸の中心にある宝石のようなモノを剣で突くと動きは止まり動かなくなった。 俺は戦いが終わった後、しばらく動けなかった
キーンコーンカーンコーン 授業を終え、帰りの支度をしていると祐樹が話しかけてくる。 どうやらゲーセンで遊んでから帰りたいらしい、俺は家でゲームしたいんだが、まあいいか付き合おう。 最近は勉強ばかりと聞くしたまには良いだろう。 音ゲーをしたり、格ゲーをしたりした後、夕飯をファストフード店で済まし、帰路についていた。 辺りは暗くなっていた。 祐樹「いやー今日は遊んだなあ」 俺「いや毎日遊んでるみたいなもんじゃないか?」 祐希「いや俺はこれでも大学入試に向けて猛勉強中なんだぜ」 俺「そんな奴がゲーセンで遊んでて良いのかよ...」 確かにコイツはこう見えて昔から頭が良く成績も良い。 今俺たちは高校2年生だが、コイツはすでに大学受験に向けて勉強している、親が片親で重病を患い入院しているというのもあるが、一番は医療系の大学に入って病気で困っている人々を助けたいのだそうだ。 聖人そのものである。 祐希「そういやカイトってなりたいものとか夢ってあるの?」 俺「うーん何がしたいかとか考えた事もないな、普通に働いて生きて生ければ良いかな。あと何かに負けたくないぐらいか、後はおばさんと瑠夏が元気で居てくれたら何でも良いかな」 祐希「そうかー、人の下で素直に働くって意思はあるんだな、負けず嫌いは相変わらずだなあ」 俺「お前はすごいよな、俺も勉強しとけばなあ」 何て他愛もない会話をしていた次の瞬間 ゴオオオオオオパリンッ と 空の割れるような音がした。